「Stable Diffusion」には「ネガティブプロンプト」と呼ばれる、画像の生成に不可欠な要素があり、ネガティブプロンプトを使いこなすことができれば飛躍的に画像の精度が上がります。
この記事ではStable Diffusionのネガティブプロンプトの仕組みや入力方法について解説します。
Stable Diffusionのネガティブプロンプトとは?
Stable Diffusionのプロンプトとは、生成したい画像の単語や文章を入力する内容を指します。
一方、ネガティブプロンプトとは、画像を生成する際に除外したい内容のテキストを入力することを指します。
プロンプトとネガティブプロンプトの両方の要素を入力することによって、画像のクオリティが上がります。
それ以外にも、分割生成や画像内の矛盾を防ぐ効果もネガティブプロンプトに含まれています。
Stable Diffusionのネガティブプロンプトのおすすめ
Stable Diffusionで画像を生成する上でおすすめのネガティブプロンプトを紹介します。
生成したい画像パターンに合わせて参考にしてみてください。
Stable Diffusionで低品質な画像の出力を防ぐネガティブプロンプト
Stable Diffusionで、どの画像生成にも利用されている、基本的な画質に関するネガティブプロンプトです。
画質やピントずれ、JPEG圧縮による劣化などを防ぐ効果があります。
画質に関する代表的なネガティブプロンプト例です。
単語 | 意味 | 効果 |
---|---|---|
low quality | 低品質 | 高品質を出力します |
worst quality | 最悪の品質 | 最悪の品質を避けます |
out of focus | 焦点が合っていない | ピントを合わせます |
ugly | 醜い | 醜さを排除します |
error | エラー | エラーを排除します |
JPEG artifacts | JPEG 圧縮の不具合 | JPEG 圧縮による画質低下を防ぎます |
low resolution | 低解像度 | 解像度を上げます |
blurry | ぼやけた | 全体のぼやけをなくします |
bokeh | ボケ | ピンぼけなどをなくします |
lowers | 画質を下げる | 画質を上げます |
poor quality | 乏しい質 | 質を向上させます |
Stable Diffusionでnsfwを防ぐためのネガティブプロンプト
nsfwとは、不適切なコンテンツのことを表しており、アダルト要素などを排除することができます。
単語 | 意味 | 効果 |
---|---|---|
nsfw | 成人向けの要素を含む | 成人向け要素を排除します |
nipples | 胸部の突起部分 | 乳首の露出を防ぎます |
pubic hair | 陰部の毛 | 陰部の毛を排除します |
nude | 裸 | 裸の表現を排除します |
bare navel | へそ出し | へそ出しを防止します |
exposed skin | 露出した肌 | 肌の露出を防止します |
exposed chest | 露出した胸 | 露出した胸の表現を防止します |
Stable Diffusionで作画崩壊や奇形を防ぐためのネガティブプロンプト
人間や物体の不自然な形状、細かいデッサンの崩れなどを防ぐネガティブプロンプトです。
Stable Diffusionで生成する画像の自然な見た目とバランスが保たれます。
単語 | 意味 | 効果 |
---|---|---|
bad anatomy | 人体の不正確な構造 | 人体の不正確な構造の出現を防止します |
deformed | 変形した | 変形した部位の出現を防止します |
bad face | 不快な顔 | 不快な顔の出現を防止します |
extra_arms | 余分な腕 | 余分に増える腕の出現を防止します |
disconnected_limbs | 切り離された四肢 | 四肢の分離を防止します |
exposed inaccurate limbchest | 四肢の形が正確でない | 四肢の形を正確にします |
extra_fingers | 余分な指 | 余分に指が増えないように抑制します |
extra_legs | 余分な足 | 余分に足が増えないように抑制します |
missing_limb | 欠落している四肢 | 四肢が欠落しないように抑制します |
floating_limbs | 浮遊する四肢 | 不自然に浮き上がらないように抑制します |
mutated hands | 異常な手 | 手の異常を抑制します |
missing fingers | 欠けている指 | 指が欠けないように抑制します |
fewer digits | 指が少ない | 指の数が不足しないように抑制します |
deformed mutated | 変質・変異 | パーツが変異しないように抑制します |
Stable Diffusionでロゴやテキスト(文字)を取り除くネガティブプロンプト
Stable Diffusionでは、学習済みデータにあるアーティストのサインや、著作権が存在する文字が挿入されてしまうことがあります。
これらを排除するために使用されるネガティブプロンプトです。
単語 | 意味 | 効果 |
---|---|---|
text | テキスト | テキストの入り込みを防止します |
logo | ロゴ | ロゴの映り込みを防止します |
signature | サイン | サインやマークなどの出現を防止します |
artist | アーティスト | アーティストのサインなどの出現を防止します |
name | ネーム | 個人名などの名前の入り込みを防止しします |
Stable Diffusionで分割生成を避けるネガティブプロンプト
複数の角度からの表示や分割した絵が表示される状況を防ぎます。
トリミングされた画像や断面図の出現も排除することができます。
単語 | 意味 | 効果 |
---|---|---|
multipul | 複数 | 複数の角度から画像生成されるのを防ぎます |
split view | 分割画面 | 画面の分割を防ぎます |
grid view | グリッド表示 | 補助線の出現を防ぎます |
two shot | 2人の人物 | 2人の人物が同じ画面に生成されるのを防ぎます |
cropped | トリミング | トリミングされた画像の出現を防ぎます |
cross section | 断面 | 断面画像の出現を防ぎます |
Stable Diffusionのネガティブプロンプトの書き方
Stable Diffusionのネガティブプロンプトの書き方は、プロンプトの書き方と同じで基本的に前に記述する単語が優先されるようになっています。
指示を出し過ぎて、後ろになると優先度が下がってしまうので、前方の単語をシンプルに入力するとうまくいきやすいです。
実際にネガティブプロンプトを入力するのとしないのではどのくらい差があるのか検証してみました。
日が差している街頭で、キャミソールとスカートを着ている茶髪のロングヘアーの美しい女性が笑顔ではにかんでいる絵を高い品質で生成します。
[Top quality, 1 beautiful woman, long Hair, brown hair, wearing Camisole, skirt, shy-smile, Sunlight, at street]
次に複数のネガティブプロンプトを入力してクオリティをあげてみます。
不自然に長い首、服装のバランスをネガティブプロンプトで修正します。
[worst quality, low quality, lowres, nsfw, Blurry pupil, bad eyes, long neck, extra_arms, mutated hands, inaccurate limb, unnatural clothing, error, bad anatomy]
結果、全体的な見た目とバランスが良くなりました!
ネガティブプロンプトは、生成した画像をから徐々に要素を排除していく使い方がおすすめです。
Stable DiffusionのEasyNegativeとは?
Stable Diffusionにおいては、出力される画像の内容を緻密に制御して最適化するためにネガティブプロンプトが不可欠で、品質を上げるという大きなメリットがあります。
一方で、ネガティブプロンプトは指定が細かくなりがちな上、似たようなプロンプト指定になってしまう場合が多いです。
Stable Diffusionには面倒なネガティブプロンプトを入力しなくても、たった一つのネガティブプロンプトで画像のクオリティをアップするパッケージがいくつかあります。
その中でも人気なのが「EasyNegative」と「EasyNegative V2」です。
EasyNegativeは制作者がStable DiffusionのモデルCounterfeitと同じため相性が良いですが、他のモデルの場合でも効果を発揮します。イラスト系に強い傾向があります。
「EasyNegative」の導入方法
ダウンロードしたファイルをStable Diffusion web UIをインストールしているフォルダを開き、「embeddings」フォルダの中に入れます。
ファイルの導入が完了したらStable Diffusion web UIを起動して完了です。
EasyNegativeの使い方は、ネガティブプロンプトの入力欄に「EasyNegative」を入力するか、Textual Inversionタブに移動し、グレーの画像を選択するだけです。
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