Stable Diffusionで建築パースを作る方法|モデル選び・ControlNet・プロンプト実例まで徹底解説

Stable Diffusionで建築パースを作ってみたいけれど、ControlNetの設定やプロンプトの組み方がわからない——設計事務所やデザイナーの方から相談されることがあります。

この記事では、建築パースに向くモデルの選び方から、ControlNetの使い分け、外観・内観別のプロンプト実例を詳しく解説します。

目次

なぜ建築パースにStable Diffusionが向いているのか

3DCGラフレンダリング+AI仕上げが実務標準になっている理由

建築パース制作は本来、モデリング→マテリアル設定→ライティング→レンダリング→ポストプロダクションという工程を、すべて手作業で積み上げるものでした。

Stable Diffusionを組み込むと、この工程のうち質感付与・バリエーション出し・雰囲気調整の部分を大幅に効率化できます。

建築パースを完成させようとすると、寸法の整合性が崩れがちです。

実務では、BlenderやSketchUpなどで構造を固めたラフレンダリングを用意し、それをStable DiffusionとControlNetで質感だけ仕上げる「3DCGラフレンダリング+AI仕上げ」が前提のワークフローになっています。

建築パース制作フロー 3DCGラフレンダリングからControlNetでマップを抽出し、Stable Diffusionで生成、Hires.fixでアップスケールして完成パースに至る5ステップのフロー 3DCGラフレンダリング Blender / SketchUp ControlNet用マップ抽出 Canny・Depth・MLSD Stable Diffusionで生成 プロンプト + ControlNet Hires.fix / アップスケール 段階的に解像度を上げる 完成パース 建築パース完成

建築パースに向くモデルの選び方

Stable Diffusionのモデル選びは、建築パースの品質を左右する重要な判断です。用途別の特徴を整理します。

モデル系統特徴建築パースでの向き不向き
SD 1.5系軽量でControlNet対応LoRA・Checkpointが最も豊富建築・インテリア向けLoRAの選択肢が多く、実用性が高い
SDXL系高解像度(1024×1024)でフォトリアルな質感表現に強い建築パースの実務でメインモデルとして採用しやすい
FLUX系大規模モデルで質感・光表現がSDXLを上回る場面もあるControlNetエコシステムがSD1.5/SDXLほど成熟しておらず、現時点は補助的な位置づけ

建築・インテリア向けのLoRAやCheckpointは、Civitaiなどで「architecture」「interior design」といったキーワードで検索すると多数見つかります。

和風建築や和モダンなど日本特有のスタイルを狙う場合は、「和風建築」「木造」「障子」といった日本語・英語両方のキーワードで探すと、対応するLoRAが見つかりやすくなります。

建築パースのプロンプト実例集

外観パース

アクション①

アクション②

アクション③

外観パースを生成でする際によく使われるプロンプトを、用途・シーン別にまとめました。

カテゴリシーンプロンプト例ポイント
住宅系戸建て住宅・昼景modern minimalist house exterior, white stucco walls, large glass windows, flat roof, daytime, clear blue sky, photorealistic architectural rendering, 8k素材(stucco/wood/concrete)と屋根形状を明記すると精度が上がる
集合住宅マンション・低層アングルlow-rise apartment building, natural landscaping with trees, eye-level view from street, overcast soft lighting, architectural visualization植栽・人物・車を入れるとスケール感が伝わりやすい
商業施設店舗・にぎわい演出modern retail storefront exterior, glass facade, evening lighting, pedestrians walking by, urban street setting, photorealistic人流・看板・照明でにぎわい感を強調
オフィスビル高層ビル・夜景high-rise office building exterior, glass curtain wall, night scene, city skyline background, illuminated windows, cinematic lightingガラスの反射表現を指定すると質感が上がる
公共施設図書館・自然素材public library building exterior, wood and concrete facade, surrounded by greenery, soft natural daylight, minimalist architecture木材×コンクリートは公共建築で人気の組み合わせ

内観パース

アクション①

アクション②

アクション③

内観パース(建築・インテリアのビジュアライゼーション)向けのプロンプト集を、部屋・用途別にまとめました。

カテゴリシーンプロンプト例(英語)ポイント
リビングモダンリビング・昼景modern minimalist living room interior, large floor-to-ceiling windows, natural daylight, neutral color palette, wood flooring, photorealistic architectural rendering, 8k窓の大きさと採光の入り方を具体的に描写すると自然な仕上がりに
ダイニング・キッチンオープンキッチンopen-plan kitchen and dining area, marble countertop, pendant lighting, modern cabinetry, warm ambient lighting, photorealistic render照明の種類(pendant/downlight)を指定すると質感が変わる
ベッドルーム寝室・落ち着いた雰囲気cozy bedroom interior, soft warm lighting, neutral tones, textured bedding, large window with sheer curtains, architectural visualization「落ち着いた」は”cozy” “calm” “muted tones”などで表現
バスルーム・洗面ホテルライクな浴室luxury hotel-style bathroom interior, freestanding bathtub, natural stone tiles, soft ambient lighting, photorealistic render素材(stone/marble/tile)と照明の柔らかさが高級感を左右
オフィスオープンオフィスmodern open-plan office interior, natural light, greenery accents, collaborative work areas, minimalist design, architectural rendering植栽・人物を入れると空間のスケール感が伝わりやすい
商業空間カフェ・店舗内観cozy cafe interior, warm pendant lighting, wood and brick textures, people sitting at tables, inviting atmosphere, photorealisticにぎわい演出には人物・小物(カップ、本など)を追加
公共施設図書館・共用スペースpublic library interior, wood shelving, natural daylight through skylights, quiet reading area, minimalist architecture天窓・トップライトの光を指定すると開放感が出る

ネガティブプロンプトで歪みを防ぐコツ

建築パースでは、人物や小物以上に「直線の歪み」がそのまま違和感につながります。以下のようなネガティブプロンプトを基本セットとして入れておくと、破綻を減らせます。

建築パース(外観・内観共通)で使われるネガティブプロンプトを、崩れやすいポイント別にまとめました。

カテゴリネガティブプロンプト例何を防ぐか
構造・形状の破綻distorted proportions, warped walls, broken geometry, asymmetrical windows (unintended), crooked lines壁や窓の歪み、建物形状の不自然な崩れを防止
パース・遠近感fisheye distortion, incorrect perspective, converging verticals, tilted horizon広角レンズ特有の歪みや水平線の傾きを抑制
質感・素材plastic-looking materials, fake texture, low-poly surfaces, flat shading, unrealistic reflections素材のチープさや不自然な質感・反射を回避
光・影harsh shadows, overexposed, blown-out highlights, unrealistic lighting, flat lighting, no ambient occlusion光源の不自然さ、白飛び・黒つぶれを防止
画質・ノイズblurry, low resolution, grainy, noisy, pixelated, jpeg artifacts, oversharpened全体的な画質劣化やノイズを排除
人物・小物deformed people, extra limbs, distorted faces, floating objects, misplaced furniture添景の人物や家具の破綻を防止
植栽・環境unnatural trees, fake-looking plants, repetitive textures, cloned foliage植栽のコピペ感・不自然な繰り返しパターンを回避
色調・雰囲気oversaturated colors, unrealistic color grading, cartoonish, illustration style (写実系を狙う場合)過度な彩度やイラスト調への寄りすぎを抑制
構図・余計な要素cluttered composition, watermark, text, logo, signature, cropped building不要なテキストや構図の乱れを排除
CG特有の違和感render artifacts, ghosting, double exposure, unrealistic reflections on glass, plastic skyCGレンダリング特有の不自然さを軽減

ControlNetで構造を保持する

ControlNetは、建築パース制作にで力を発揮します。

建築パースと特に相性が良いのがMLSDです。MLSDを使えば、直線的な図面構造を維持しながら新たな画像の生成が可能です。

CannyやSoftEdgeが輪郭全般や質感の細かいエッジまで拾ってしまうのに対し、MLSDは「直線」だけを検出して構造情報として渡します。建物は壁・柱・窓枠・床のラインなど直線要素の塊なので、MLSDを使うと余計な凹凸やノイズを拾わずに、パースと輪郭だけを正確に保持したまま生成できます。

具体的には次のような場面で強みを発揮します。

  • 都市景観・ファサードデザイン:複数の建物や柱が並ぶ構図で、パース線の破綻を避けたいとき
  • 外観パース:ビルや住宅の輪郭、窓の格子など直線が多い構図で、窓の数や位置のズレを防ぎたいとき
  • 内観パース:床・壁・天井の境界線や什器の直線を保ちながら、質感や照明だけをAIで変えたいとき
ControlNetモデル抽出する情報建築パースでの用途
Canny輪郭線外観パースの建物形状保持
Depth深度(奥行き)内観パースの空間レイアウト保持
Normal Map面の方向曲面や複雑な形状の表現
MLSD直線建築特有の直線・パース精度が求められる構図の保持

ControlNet MLSDの使い方

見出し画像

以下でMLSDの実践例を紹介します。

STEP
素材画像の読み込み

ControlNetのMLSDを開き、ドラッグ&ドロップで素材画像を読み込みます。

「有効化」、「Pixel Perfect」、「MLSD」にチェックを入れます。

STEP
線画を抽出

次に、プリプロセッサ「mlsd」、モデル「control_mlsd-fp16」を選択します。

モデルは生成するcheckpointによって変更する必要があります。

MLSD Distance Thresholdと MLSD Value Thresholdをコントロールして線の粗さを調整します。

選択が完了したら、真ん中の「💥ボタン」を押して線画抽出を開始します。

MLSD Distance Threshold

「MLSD Distance Threshold」は、線分検出アルゴリズムにおいて、検出された線分同士の距離を評価するために使用されるパラメータです。

小さい値に設定すると、非常に近い線分のみが考慮され、結果がより精密になります。

大きい値に設定すると、より多くの線分を検出しますが、誤検出が増える場合があります。

MLSD Value Threshold

「MLSD Value Threshold」は、線分検出の際に、線分の重要性やスコアリングに基づいて、特定の線分をフィルタリングするための閾値です。

高い値に設定すると、より信頼性の高い線分のみが結果に含まれます。

低い値に設定すると、より多くの線分を結果に含めますが、精度が低下する場合があります。

STEP
プロンプトを入力して生成開始

線画の抽出が終わったらプロンプトに画風とシーンを入力します。

今回は荒廃した街並みの線画を利用して、繁栄していた時代の平和な街並みとサイバーシティを再現する画像パターンを生成してみます。

natural cityscape, Idyllic Efflorescence, Peaceful city

Stable Diffusionで建築パースを使いこなせるようになろう

Stable Diffusionでの建築パース制作は、モデル選定・ControlNetによる構造保持・プロンプト設計の3つを押さえることで、実務品質に近づけられます。

そして、これらの試行回数を重ねる作業を快適に回せるかどうかはGPU環境次第です。ローカル環境の限界を感じたら、必要なときだけ高速GPUを使えるクラウドGPUの活用も検討してみてください。

これらを快適に回せるかどうかはGPU環境次第です。

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この記事を書いた人

EdgeHUBは、NVIDIAクラウドパートナーである株式会社ハイレゾが運営しています。「AIと共にある未来へ繋ぐ」をテーマに、画像生成AI、文章生成AI、動画生成AI、機械学習・LLM、Stable Diffusionなど、最先端の生成AI技術の使い方をわかりやすく紹介します。

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