Agent2Agent(A2A)は、異なる開発者によって作られたAIエージェント同士が円滑に通信し、連携するための標準的な仕様を定めた通信規約(プロトコル)です。
このA2Aprotocolは、Googleが中心となって開発を進めており、AIエージェントが特定のアプリケーションやプラットフォームの垣根を越えて協調動作するための共通言語として機能します。
この記事では、A2Aの基本的な仕組みから、類似技術であるMCPとの違い、具体的な活用事例までを網羅的に解説します。
Agent2Agent (A2A) とはAIエージェント同士を繋ぐ共通言語

Agent2Agent(A2A)とは、目的や機能を持つ自律型AIエージェントが、互いに連携して複雑なタスクを遂行できるようにするためのオープンなプロトコルです。
現在、AIエージェントは特定のタスクに特化して開発されることが多く、それぞれが独立したシステムとして動作しています。
A2Aは、これらの独立したエージェント間に共通のコミュニケーションルールを設けることで、あたかも人間が言語を使って対話するように、エージェント同士が協力し合うことを可能にします。
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話題のA2Aとは?「A2A + MCP」で構築するAIエージェント【10/29開催】
開催日時:
2025年10月29日(水) 14:00~15:00
内容:
- 話題のA2Aとは?「A2A + MCP」で構築するAIエージェント
- オンプレより安価にNVIDIA H200を活用できる「AIスパコンクラウド」のご紹介
こんな方におすすめ!
- A2Aの仕組みと実装方法を体系的に理解したい方
- A2AとMCPを組み合わせたAIエージェントに関心がある方
- ローカルLLMを活用したAIエージェントに興味がある方
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なぜ今、AIエージェント間の相互運用性が求められるのか
現代のAIエージェントは、特定のタスク処理に特化して開発される傾向にあり、単体で対応できる範囲には限界がありました。
そこで、各々のプロジェクトを一つのプロトコル上で相互運用することによって協力し拡張していくことが求められたのでした。
- 現状のAIエージェント:専門特化と限界
- 現代のAIエージェントは、特定のタスク(例えば、航空券の予約だけ、レストラン検索だけなど)を高い精度でこなす「専門家」として開発される傾向にあります。
- そのため、一つのエージェントだけでは対応できる範囲が狭く、単体では限界があります。
- 課題:連携不足による「サイロ化」
- 旅行プラン作成のような複雑な要求には、「航空券」「ホテル」「レストラン」といった複数の専門エージェントの力が必要です。
- しかし、これらのエージェント同士が連携し、情報をやり取りする「相互運用性」が欠けていると、それぞれが孤立した「技術のサイロ」になってしまいます。
- このサイロ化が、AI全体のポテンシャルを最大限に引き出せない大きな原因となっています。
- 目指すべき未来:協調による能力の拡張
- 個々の専門エージェントが、まるで人間のプロジェクトチームのように、お互いに協調して一つの大きな目標に取り組む「仕組み」を構築することが重要です。
- この「協調の仕組み」こそが、AI技術の可能性をさらに解き放ち、より高度で複雑なタスクを自動化するための鍵となります。
A2Aプロトコル導入によって得られる主なメリット
A2Aプロトコルを導入する最大のメリットは、開発者が特定のプラットフォームに縛られることなく、自由にAIエージェントを開発し、既存の多種多様なエージェントと連携させられる点にあります。
- 相互運用性の飛躍的向上
-
異なる開発者や企業によって作られた多様なAIエージェントが、共通の言語やルールで対話・連携できるようになります。これにより、技術のサイロ化を防ぎ、システム全体の能力を高めます。
- エコシステムの拡大と柔軟性の確保
-
複数の専門エージェントを連携させて大きな課題を分業で解決しつつ、システムを小さなエージェントの集合体として構成することで、機能追加・修正が容易で柔軟にスケールできます。負荷の高い処理を担うエージェントだけを増強するなどリソースを最適配分できるため、複雑な要求にも効率的かつ拡張可能に対応が可能になります。
- 相互運用性の飛躍的向上
-
異なる開発者や企業によって作られた多様なAIエージェントが、共通の言語やルールで対話・連携できるようになります。これにより、技術のサイロ化を防ぎ、システム全体の能力を高めます。
- ユーザー体験の向上
-
ユーザーは、個別のツールを使い分ける必要がなくなります。一つのインターフェースから複雑な要求を伝えるだけで、背後で最適なエージェントたちが連携し、シームレスにタスクを完了してくれるため、より高度でパーソナライズされたサービスを受けられるようになります。
市場調査によれば、AIエージェント市場は今後大きく成長すると予測されており、A2Aは異なるサービスを繋ぐハブとして、このエコシステムの成長を支える重要な基盤技術となることが期待されています。
A2Aプロトコルが動作する仕組み

Agent2Agentプロトコルは、異なるAIエージェント間の協調動作を可能にするための技術的な基盤を提供します。
この仕組みの核となるのは、タスクの依頼側である「クライアント」と、実行側である「リモート」という明確な役割分担です。
両者は標準化されたメッセージ形式を用いて非同期に通信し、タスクの実行を要求・完了させます。
このシンプルな構造は、拡張性や安全性を重視した設計思想に基づいており、様々な機械学習モデルを搭載したエージェントが柔軟に連携することを可能にします。
A2Aプロトコルを支える5つの設計思想
A2Aプロトコルは、持続可能で実用的なエージェント間連携を実現するために、以下の5つの主要な設計思想に基づいています。
- タスク指向:エージェント間の通信は、具体的なタスクの実行を目的として設計
- 拡張性:将来の技術進化や新たなユースケースに柔軟に対応可能な構造
- 安全性:認証・認可などのセキュリティ機構を組み込み、連携の安全性を担保
- 最小限の仕様:プロトコルはミニマルに保ち、開発者が実装しやすい設計
- 非中央集権:特定の管理者を必要とせず、エージェント同士が直接通信できる自由なエコシステムを志向
クライアントとリモートで構成されるエージェントの役割分担

クライアントエージェント
クライアントエージェントは、特定のタスクを達成するために、他のエージェントの助けを必要とする側です。
ユーザーからの指示を受けたり、自らの目的を達成する過程で、必要な機能を持つリモートエージェントに対して処理を依頼します。
リモートエージェント
リモートエージェントは、特定の専門的な機能やサービスを提供する側であり、クライアントからの要求を受け取ってタスクを実行し、その結果を返却する役割を担います。
この明確な役割分担によって、エージェント間の責任範囲が明確になり、構造化された連携が実現します。

メッセージ通信によるタスク実行の具体的な流れ
A2Aプロトコルにおけるタスク実行は、クライアントとリモート間のメッセージ交換を通じて行われます。
まず、クライアントエージェントが、実行を依頼したいタスクの内容を定義したメッセージを生成します。このメッセージには、リモートエージェントがタスクを理解し実行するために必要な情報、例えばツールの名前や引数(パラメータ)などが含まれます。
メッセージを受け取ったリモートエージェントは、その内容を解析し、自身の持つ機能を使ってタスクを処理します。 処理が完了すると、リモートは実行結果やステータスを含むメッセージを生成し、クライアントに返信します。
この一連の非同期的な通信により、異なるエージェントが協調して一連の処理を遂行します。
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A2AとMCPの機能的な違いを比較

AIエージェントの連携技術を語る上で、A2Aとしばしば比較対象となるのがMCPです。
A2Aがエージェント同士の連携に焦点を当てているのに対し、MCPはエージェントとツールが連携して応答を生成することを目指しています。
両者はエージェント間通信の標準化という共通の目標を持ちながらも、そのアプローチと担う役割において明確な違いが存在します。
プロトコルが担う役割の違い
項目 | A2A | MCP |
---|---|---|
主な目的 | エージェント間のタスク実行と協調 | エージェントとツールの連携 |
連携の性質 | エージェント同士の連携 | エージェントとツールの連携 |
役割 | 異なる機能を持つエージェントが特定のタスクを分担 | エージェントがツールを使用 |
連携の例 | 予約、決済、確認エージェントが連携して応答 | エージェントがWEB検索ツールを使用して応答 |
A2AとMCPの大きな違いは、エージェント連携とツール連携になります。
A2Aは異なる機能を持つエージェントがタスクを分担して協調実行するための役割を担い、一方のMCPはエージェントがツールと連携して応答します。
A2Aはエージェント同士の連携を、MCPはエージェントとツールの連携を担当するという形で、それぞれが異なる役割を果たしています。

A2Aプロトコルの具体的な活用事例

Agent2Agentプロトコルは、理論上の概念に留まらず、既に具体的なビジネス課題を解決するための応用が検討されています。
複数の異なる専門性を持つAIエージェントが連携することで、これまで多くの人手と時間を要していた複雑な業務プロセスを自動化したり、個々のユーザーに最適化された体験を提供したりすることが可能になります。
ここでは、その代表的な活用事例として、人材採用プロセスと旅行プランニングの2つのケースを紹介します。

人材採用プロセスを自動化・効率化するケース
人材採用の現場では、書類選考から面接日程の調整、候補者とのコミュニケーションまで、多岐にわたる煩雑なタスクが発生します。
A2Aプロトコルを活用することで、プロセス全体の大幅な自動化と効率化が図れます。 例えば、応募者のレジュメを解析しスキルを評価する「書類選考エージェント」、候補者と採用担当者の空き時間を照合して面接をセッティングする「日程調整エージェント」、そして面接後の結果を通知する「連絡エージェント」などがA2Aで連携します。
複数のサービスを横断して旅行プランを提案するケース
ユーザーが「来週末、京都で紅葉を楽しめる温泉宿に泊まりたい」といった曖昧な要望を伝えた場合を考えます。 この要望を実現するには、交通手段の確保、宿泊施設の検索・予約、食事場所の提案など、複数のサービスを横断した情報収集と手配が必要です。
A2Aプロトコルを活用すれば、ユーザーの意図を解釈するエージェントが起点となり、「航空券予約エージェント」「宿泊予約エージェント」「観光情報提供エージェント」などを呼び出します。

A2Aプロトコルの普及は、AIエージェントの活用範囲を飛躍的に広げる可能性を秘めています。
現在は個別のアプリケーション内で機能しているAIエージェントが、標準化された通信規約を通じて相互に連携できるようになることで、社会全体に分散する無数のエージェントが一つの巨大な知的ネットワークを形成する未来が想定されます。
このようなエージェント同士の協調は、個人の生産性向上から、エネルギー管理や物流といった社会インフラの最適化に至るまで、あらゆる領域に革新をもたらすプロトコルとなるでしょう。
A2Aプロトコルが切り拓くAIエージェント連携の未来
今回は、Agent2Agent(A2A)プロトコルについて、基本的な概念からMCPとの違いについて解説しました。
このプロトコルは、今後のAIエージェントエコシステムの発展を支える、中心的な役割を担う技術となっていくでしょう。
A2Aを実例ベースで深掘りし、複数のAIエージェントが連携する具体的な方法をデモ付きでわかりやすく解説するウェビナーを開催します。
このウェビナーでは、A2Aを活用した複数のAIエージェントが連携する方法を、デモを交えてわかりやすく解説します。
- 開催概要:A2Aプロトコル実践ウェビナー(無料/オンライン)
- 参加メリット:デモで使用したソースコードの配布あり
- 対象:AIプロダクト開発者、事業責任者、PoC担当、SI/スタートアップ
- こんな方におすすめ:エージェント連携の標準化に悩んでいる/MCPとの役割分担を見極めたい/社内ワークロードにどう当てはめるか知りたい
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